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皆さんこんにちは
株式会社荒木製作所です
~熱と溶融池を操る~
製缶、組立加工において、溶接は複数の金属部品を一つの構造物へ変える重要な工程です。
しかし、溶接は金属同士を溶かして付ければよいというものではありません。
使用する材料、板厚、継手形状、要求される強度や外観によって、適した溶接方法や条件が異なります。
鉄、ステンレス、アルミは、見た目や用途だけでなく、熱の伝わり方、膨張、酸化、溶け方などが異なります。
鉄で問題なく使用できた電流や速度を、そのままアルミへ使うことはできません。
各種溶接加工業における技術とは、強い熱で金属を溶かすことではなく、材料の性質に合わせて熱量、速度、角度、溶加材を調整し、必要な強度と形状を作ることです😊
今回は、鉄、ステンレス、アルミの溶接技術について詳しく紹介します。
目次
溶接部分へ油、さび、水分、塗料などが付着していると、気孔、割れ、融合不良などの原因になる可能性があります。
グラインダー、ワイヤーブラシ、適切な洗浄材などを使い、溶接範囲を清潔にします。
鉄材料では、黒皮や厚いさびを必要な範囲で除去します。
ステンレスでは、鉄用のブラシや研磨材を共用すると鉄粉が付着し、後にさびが発生する可能性があります。
専用の工具を使い分けます✨
アルミでは、表面の酸化皮膜や油分を除去することが重要です。
清掃後に長時間放置すると再び汚れや酸化の影響を受けるため、適切なタイミングで溶接します。
厚い材料を突き合わせて溶接する場合、表面だけを溶かしても内部まで十分に接合できません。
材料端部を斜めに削り、溶接金属が入りやすい形をつくる開先加工を行います。
開先角度、ルート間隔、ルート面などを図面や施工条件に合わせます。
隙間が広すぎると溶け落ちや溶接量の増加につながり、狭すぎると内部まで溶け込まない可能性があります。
部材の位置を固定し、溶接中に隙間が変化しないようにします🔧
鉄の製缶加工では、ワイヤーを自動的に供給する半自動溶接が広く使われます。
作業速度が比較的速く、架台、フレーム、タンクなど幅広い製品へ対応できます。
電流、電圧、ワイヤー送給速度、トーチ角度、移動速度を調整します。
電流が低すぎると溶け込みが不足し、高すぎると溶け落ちや過大なスパッタが発生する場合があります。
トーチを動かす速度が速すぎれば細く不十分なビードとなり、遅すぎれば溶接金属が盛り上がり、熱影響が大きくなります🔥
溶接音、アークの状態、溶融池の形を見ながら調整します。
薄板、小型部品、外観を重視する部分などでは、TIG溶接が使われることがあります。
TIG溶接は、電極を溶かさずにアークを発生させ、必要に応じて溶加棒を加えます。
溶融池を細かくコントロールしやすく、きれいな仕上がりを得やすいことが特徴です。
一方、半自動溶接に比べて作業速度が遅くなる場合があります。
製品の用途、板厚、外観、製作時間を考え、適切に使い分けます😊
ステンレスは、鉄と比べて熱が逃げにくく、熱膨張の影響を受けやすい傾向があります。
長い距離を連続して溶接すると、板が大きく反ったり、波打ったりする可能性があります。
電流を必要以上に高くせず、移動速度や溶接順序を調整します。
短い区間に分けて溶接する、左右交互に施工する、十分な冷却時間を取るなどの方法があります。
薄板のステンレス製タンクやカバーでは、わずかなひずみでも外観や組立へ大きく影響します。
治具や銅板を使って熱を逃がす方法もあります🛠️
ステンレス配管やタンクなど、溶接部の裏側まで品質を求められる場合があります。
裏側へ空気が触れた状態で高温になると、強い酸化が発生し、ざらついた状態になることがあります。
必要に応じて裏側へ不活性ガスを流し、酸化を抑えるバックシールドを行います。
ガス流量が少なすぎれば十分な効果がなく、多すぎると乱流によって外気を巻き込む場合があります。
溶接開始前に内部の空気を置き換え、溶接後も適切な時間ガスを流します🔍
食品や薬品を扱う設備では、内部の滑らかさや清掃性が重要です。
ステンレス溶接部には、熱による青、茶、黒などの変色が生じます。
この変色部分は、外観だけでなく耐食性へ影響する場合があります。
製品仕様に応じて、専用薬品、電解処理、研磨などで焼けを除去します。
処理後は薬品や汚れを残さないよう、十分に洗浄します🧼
ヘアライン仕上げや鏡面仕上げでは、周囲の表面模様と方向を合わせます。
溶接部分だけを強く磨きすぎると、板が薄くなったり、周辺と光沢が変わったりします。
アルミの表面には、非常に薄い酸化皮膜があります。
この皮膜は母材よりも融点が高く、溶接の安定を妨げる場合があります。
専用ブラシや適切な方法で表面を整え、油分や水分も除去します。
鉄やステンレスを加工したブラシを共用せず、アルミ専用として管理します。
清掃後は手で触りすぎず、早めに溶接します🧤
アルミの薄板や外観を重視する製品では、TIG溶接が用いられます。
厚板や長い溶接では、ワイヤーを供給するMIG溶接が採用されることもあります。
アルミは熱伝導が良いため、溶接開始時には熱が周囲へ逃げやすく、一定時間後には部材全体が熱くなります。
作業中に同じ速度と電流を続けると、後半で溶け落ちやひずみが発生する可能性があります。
母材温度を見ながら電流や速度を調整します🌡️
アルミの溶融池は鉄より色の変化が分かりにくいため、表面の光沢や形を注意深く観察します。
溶接時に加えるワイヤーや溶加棒は、母材に合った種類を選ぶ必要があります。
材質が合わないと、強度、耐食性、割れやすさなどへ影響する可能性があります。
ステンレスでも複数の材質があり、母材と使用環境を確認します。
アルミは合金の種類によって溶接性が異なるため、適切な溶加材選定が重要です。
材料表示やミルシートなどを確認し、異なる材質を取り違えないよう管理します🏷️
溶接では、溶融金属を空気から守るためにシールドガスを使用します。
ガス流量が不足すると、気孔や酸化が発生しやすくなります。
多すぎる場合も周囲の空気を巻き込み、溶接品質が不安定になることがあります。
屋外や風の強い場所では、シールドガスが流される可能性があります。
防風対策を行い、条件が悪い場合は作業を中止する判断も必要です🌬️
ホースの破損、接続部の漏れ、ボンベ残量などを確認します。
溶接すると、金属は加熱されて膨張し、冷えると収縮します。
この収縮が一方向へ集中すると、製品が曲がったりねじれたりします。
長い溶接を一方向へ連続して行わず、中央から外側へ進める、左右交互に溶接するなどの方法があります。
製品を治具へ固定するだけでなく、溶接後の収縮方向を予測して、あらかじめ逆方向へわずかに変形させる場合もあります📐
ただし、過度な拘束は大きな残留応力や割れの原因になる可能性があります。
材料、形状、板厚に合わせて方法を選びます。
長い溶接や多層溶接では、一層ごとにスラグ、汚れ、欠陥などを確認します。
不具合を残したまま次の溶接で覆うと、内部欠陥となる可能性があります。
ビード幅、余盛、アンダーカット、ピットなどを見ます。
必要な場合は不良部分を除去し、再溶接します🔧
完成後だけでなく、途中工程で確認することで、大きな手直しを防げます。
鉄、ステンレス、アルミでは、熱の伝わり方、膨張、酸化、溶け方が異なります。
同じ溶接機を使っても、設定と操作を変えなければ、良い溶接はできません。
溶接加工業における技術とは、一定の速度でトーチを動かすことではありません。
アークの音、溶融池の形、材料温度、変形の様子を見ながら、その瞬間に必要な熱量と速度を判断することです。
火花の向こうで起きている金属の変化を読み取り、強度と美しさを備えた接合部を作る職人の技術が、産業設備や機械を支えているのです🔥⚡🔩✨