オフィシャルブログ

荒木製作所NEWS~人材不足~

皆さんこんにちは

株式会社荒木製作所です

 

~人材不足~

 

各種製缶、組立、溶接加工業において、近年特に深刻な課題となっているのが人材不足と技術継承です。ステンレス、アルミ、鉄といった金属素材を扱い、図面に基づいて製品を作り上げるこの仕事は、製造業の中でも高度な専門性が求められる分野です。

工場設備、機械フレーム、タンク、架台、カバー、配管部材、建築金物、産業機械部品など、製缶・溶接加工によって生み出される製品は多岐にわたります。どれも社会や産業の裏側で重要な役割を果たしており、製缶・溶接加工業がなければ成り立たない分野は数多くあります。

しかし、その重要性とは裏腹に、現場では若手人材の確保が難しくなっています。ものづくりの現場に興味を持つ若者が減少していることに加え、溶接や製缶の仕事に対して「きつい」「危険」「汚れる」といったイメージを持たれやすいことも、人材確保を難しくしている要因です。

確かに、製缶・溶接加工の現場は決して楽な仕事ではありません。金属を扱うため重量物も多く、火花や熱、音、粉じんなども発生します。夏場は暑く、冬場は冷え込む環境で作業することもあります。体力も必要であり、安全への意識も欠かせません。

しかし、この仕事には大きなやりがいがあります。自分の手で金属を加工し、図面上のものを実際の形にしていく達成感は、ものづくりならではの魅力です。特に製缶加工では、平らな板や鋼材が切断・曲げ・組立・溶接を経て、立体的な製品へと変わっていきます。その過程には、職人の技術と工夫が詰まっています。

問題は、その魅力が若い世代に十分伝わっていないことです。製缶・溶接加工業は、一般の人から見ると仕事内容が分かりにくい業種です。完成品が社会のどこで使われているのか、どのような技術が必要なのか、どんな将来性があるのかが伝わりにくいため、求職者に選ばれにくいという課題があります。

また、技術習得に時間がかかることも人材育成の難しさにつながっています。溶接は、資格を取得したからすぐに一人前になれる仕事ではありません。実際の現場では、材質、板厚、姿勢、形状、溶接方法によって条件が大きく変わります。さらに、ステンレス、アルミ、鉄では、それぞれ溶接の感覚が異なります。

鉄は比較的扱いやすい素材ですが、強度を確保するには適切な溶け込みが必要です。ステンレスは歪みや焼けに注意が必要で、外観仕上げまで求められることも多くあります。アルミは熱伝導が高く、溶接の難易度が高いため、経験の浅い作業者にとっては特に難しい素材です。

こうした技術は、教科書だけで身につくものではありません。実際に手を動かし、失敗し、修正し、先輩から指導を受けながら少しずつ習得していくものです。そのため、若手を育てるには時間と根気が必要です。

しかし、現場では日々の納期に追われているため、若手教育に十分な時間をかけられないという課題があります。ベテラン職人は自分の作業で忙しく、教えたくても教える余裕がない場合があります。また、若手に作業を任せると時間がかかったり、ミスが出たりするため、結局ベテランがやった方が早いという状況になりがちです。

この状態が続くと、若手は十分な経験を積めず、ベテランの技術は継承されないままになってしまいます。結果として、特定の作業が一部の職人にしかできない状態になり、その人が退職したり体調を崩したりすると、会社全体の生産力に大きな影響が出ます。

技術継承の難しさは、製缶加工において特に顕著です。製缶は、図面を読み、材料を拾い出し、加工順序を考え、仮組みし、歪みを予測しながら溶接する必要があります。単純な部品加工とは異なり、全体を見渡す力が必要です。

例えば、大型架台を製作する場合、どの部材から組み始めるか、どこを基準にするか、どの順番で溶接するかによって、完成品の精度が大きく変わります。ベテラン職人は経験から最適な段取りを判断しますが、その判断基準を言葉で説明するのは簡単ではありません。

「ここは先に仮付けした方がいい」「この方向に歪むから逆から溶接する」「この部分は後で修正しにくいから慎重に合わせる」といった感覚は、長年の経験によって培われたものです。こうした暗黙知をどのように見える化し、若手へ伝えるかが大きな課題です。

人材不足の影響は、受注にも関わります。対応できる職人が少なければ、せっかく仕事の依頼があっても受けきれないことがあります。特に短納期案件や複雑な加工案件では、技術者の数が生産能力を左右します。人材が不足すると、売上拡大のチャンスを逃すだけでなく、既存顧客への対応力も低下してしまいます。

また、職人不足は品質にも影響します。経験の浅い作業者だけで対応する場合、寸法ミスや溶接不良、仕上げ不良が発生するリスクが高まります。もちろん若手の成長には経験が必要ですが、品質を守るためには適切な指導と確認体制が欠かせません。

では、この課題にどう向き合えばよいのでしょうか。

まず重要なのは、教育体制の整備です。見て覚えるだけの教育ではなく、作業手順を明文化し、写真や動画を活用して分かりやすく伝える工夫が必要です。溶接条件、仮付けのポイント、歪み対策、検査項目などを記録しておくことで、若手が学びやすい環境を作ることができます。

次に、若手が成長を実感できる仕組みも大切です。最初は簡単な作業から始め、徐々に難しい作業へステップアップできるようにすることで、技術習得への意欲が高まります。資格取得支援や技能評価制度を設けることも、モチベーション向上につながります。

また、職場環境の改善も人材確保には欠かせません。安全対策、作業環境の整備、休憩スペースの充実、作業服や保護具の支給、労働時間の管理など、働きやすい環境を整えることが重要です。昔ながらの厳しい現場のままでは、若い世代に選ばれにくくなってしまいます。

さらに、会社の魅力を外部へ発信することも必要です。どのような製品を作っているのか、どのような技術があるのか、どんな先輩が働いているのか、未経験者でも成長できるのかをホームページやSNSで発信することで、求職者に興味を持ってもらいやすくなります。

製缶・溶接加工業は、技術を持った人材が会社の大きな財産です。設備や機械も重要ですが、それを使いこなし、品質の高い製品を作るのは人です。だからこそ、人材育成と技術継承は企業の未来を左右する重要な課題です。

ステンレス・アルミ・鉄溶接加工の技術は、一朝一夕で身につくものではありません。だからこそ、今いる職人の技術を守り、次の世代へつなぐ取り組みが必要です。人材不足という課題は大きいですが、裏を返せば、技術を身につけた人材の価値がますます高まっているということでもあります。

製缶・組立・溶接加工業の未来を守るためには、若手が誇りを持って働ける環境づくりが欠かせません。火花の向こうにあるものづくりの魅力を伝え、技術を次世代へつないでいくこと。それこそが、この業界がこれからも社会を支え続けるための大きな鍵となるのです。👷‍♂️🔥✨