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日別アーカイブ: 2025年10月14日

荒木製作所NEWS~2~

皆さんこんにちは

株式会社荒木製作所の更新担当の中西です

 

さて今回は

~アイアン家具の魅力~

 

アイアン家具(スチール家具)は、線の美しさ・構造の強さ・仕上げの多様性で、住宅から商業空間まで幅広く支持を集めています。オーダーメイドの現場では、寸法・荷重・導線・テイストを1点ずつ最適化できることが最大の魅力。ここではデザイン性・機能性・メンテ・事業性の4軸から、アイアン家具が選ばれる理由を深掘りします。


1|視覚を整える「細い骨格」—空間を軽く、凛とさせる

  • 視覚上の体積を最小化:角パイプやフラットバーで構成すると、同じ耐荷重でも木脚より“抜け”が良く、狭小空間でも圧迫感が出にくい。

  • リズムと間を作る:フレームのピッチ・脚のオフセット・ブレース角度で、陰影と均整が生まれ、空間の“格”が上がる。

  • 素材ミックスの司令塔:無垢材・古材・石・ガラス・レザーの異素材を束ねる「線」として機能。ミニマル、インダストリアル、和モダン、北欧などスタイル横断で馴染む。


2|構造的な強さ&薄さの両立—“軽やかに強い”を実現

  • 高い断面効率:角パイプ25×25mmでも、設計次第で1,600mm級のスパンを実用範囲に。

  • 点荷重に強い:水槽・オーディオ・石天板など重い一点物にも対応しやすい。

  • 薄い天板と好相性薄さ=高級感。鉄脚なら“薄いのにたわまない”を両立できる。

  • 可搬性の自由度ノックダウン(分解)設計で階段や狭小エレベーター搬入も容易。


3|仕上げの表現力—黒皮から粉体塗装、真鍮・銅とのコンビも

  • 黒皮鉄:ミルスケールのムラ感が一点物の表情に。オイル/蜜蝋で深みUP。

  • 粉体塗装(パウダーコート):厚膜で強靭、マット・半艶・艶有りの選択肢。指紋や擦れに強い。

  • 化学発色・黒染め:金属の“生”の気配。経年変化を楽しむ人に。

  • 異素材金物:真鍮ノブ・ステンレスボルト・銅リベットでアクセント。小さな金具が格を決める。


4|オーダーメイドの真価—ミリ単位の寸法最適化と“育つ家具”

  • 設置環境に合わせる:巾木、コンセント、梁欠き、床・壁のレベル差まで吸収。

  • 荷重条件に合わせる:本・機材・アパレル・什器—分布荷重/点荷重を先に定義し、断面・ブレース・固定方法を決める。

  • モジュールで拡張:棚柱スリット、ユニストット、追加用タップ穴で**“後から育つ”**仕様に。

  • 分解&再構成:引っ越し・模様替えで構成変更が可能。**解体設計(DfD)**はサステナブルの核心。♻️


5|商空間に強い理由—什器は“売上を生む道具”

  • 視線誘導:細いフレームは商品を主役に。陳列面を“浮かせる”演出で滞在時間UP

  • 強度とクリーン性:ヘビーユースの店舗でも歪みにくく、掃除がしやすい開放フレーム

  • 短工期適合:レーザー切断・曲げ・TIGで製作→塗装→現調→据付を高速回転。イベント什器にも最適。⏱️


6|家庭での“使い勝手”の良さ—細部が日常を変える

  • ケーブルマネジメント:配線ダクト一体、天板裏のマグネット受け、電源タップ座を内蔵。

  • 掃除ストレス最小:脚の配置とクリアランスを掃除機に合わせて設計。

  • 安全設計:角R、面取り、転倒限界角と重心位置の事前試算。壁固定の要否を最初に決める。


7|メンテナンスの簡単さ—日常ケアで10年先も綺麗に

  • 日常:乾拭き→中性洗剤→水拭き→乾拭きの順。研磨スポンジは避ける。

  • 年1回:黒皮・黒染めはオイルメンテで艶と防錆を回復。粉体は点傷のみタッチアップ。

  • 結露対策:窓際・水回りは樹脂キャップ防錆クリアを追加。

  • ガタ取り:六角ボルトのトルク点検を習慣化。床フェルトは消耗品。


8|サステナブルな素材—“鉄は回る”という強み

  • 高リサイクル率:鉄は循環しやすく、廃材→新材料へ。

  • リフィニッシュの容易さ:分解→再塗装→再組立が前提の設計なら寿命延伸が可能。

  • 小ロット地産地消:町工場×木工所×設計が地域の技術を回す。環境負荷とリードタイムの同時短縮。


9|導入までの“勝ちパターン”ワークフロー ️

  1. ヒアリング:用途/荷重/搬入経路/コンセント位置/掃除機の幅/将来拡張を確認。

  2. 現調・採寸:レーザー距離計・水平器で壁と床のクセを把握。

  3. 基本設計:断面(25×25, 30×30, 40×20等)、スパン、ブレース位置、転倒とたわみを試算。

  4. 3Dとモックアップ:脚のオフセット量、椅子の回転や足入れ、引き出しの干渉をチェック。

  5. 仕上げ確定:黒皮/粉体/黒染め+木口の見せ方、真鍮パーツの量を決める。

  6. 製作〜仮組〜据付ノックダウンで搬入、最終レベル出し。

  7. 取扱説明&メンテ:タッチアップセット、増設手順、点検間隔を共有。


10|ケーススタディ(要点抜粋)

  • ダイニングテーブル:角パイプ30×30+ブレースでW1800×D850・石目天板を支持。脚オフセットで椅子の回転を妨げず、掃除ロボの通り道も確保。

  • 壁面シェルフ:スリット支柱+棚受けで可変ピッチ。配線ダクトと間接照明を内蔵し、書斎が“編集可能な壁”に。

  • 店舗什器:フラットバー構成で**“線”を魅せるハンガーラック**。粉体マット+オーク棚で商品を主役に。搬入は分割→現場溶接なしで短工期。


11|よくあるNGと回避策 →✅

  • NG:厚い天板+細フレームでスパン過多 → ✅ ブレース追加、脚内向き角を見直し、中間受けを意匠に溶け込ませる。

  • NG:黒皮仕上げを水回りで無塗装 → ✅ クリアコート or 粉体、結露域には樹脂スペーサを。

  • NG:壁固定なしの背高シェルフ → ✅ アンカー固定転倒限界角の事前計算。

  • NG:配線後付け → ✅ 設計段階で配線ルート・タップ座・点検口を用意。


12|発注前チェックリスト(保存版) ✅

  • 耐荷重:分布/点荷重、将来増設の最大値。

  • 固定方法:自立 or 壁床固定、アンカー種別(ケミカル/メカ)。

  • 仕上げ:黒皮・粉体・黒染めの特性、触感、艶感。

  • 掃除&配線:掃除機クリアランス、ロボ経路、コンセント位置。

  • 搬入:階段・EV寸法、分割サイズ、現場での微調整余地。

  • アフター:タッチアップ、ボルト規格、増設パーツの供給計画。


まとめ|“線で魅せ、骨格で支え、歳月で育てる”

アイアン家具の魅力は、視覚の軽やかさ・構造の頼もしさ・仕上げの奥行き、そしてオーダーならではの適合性にあります。住宅でも店舗でも、線の設計・荷重の設計・生活の設計が噛み合えば、家具は空間価値を底上げする装置に変わります。
次の一台は、用途・荷重・導線・仕上げ・メンテの五点を押さえ、“育てる前提”の設計で長く付き合ってください。あなたの空間に、一本の美しい鉄の線が通るだけで、景色は驚くほど整います。